私がイギリスにいたのは20歳前後「young lady」と呼ばれるお年頃。日本人は若く見られるらしく「外国人の子ども扱い」をされる中で、一部の人ですが、差別的な態度を取る人や、日本に住んでいたら聞くことのない言葉を投げかける人もいました。一方で、そんな人達を叱ってくれる人もいたのです。それは通りすがりのおばあちゃん達です。さっきまでの笑顔からは想像できない程厳しい顔で、何が悪いかを説明してバシッと叱ります。気まずそうに逃げ去る人や、中には謝ってくれる人もいました。“おばあちゃんに叱られる”というのはただ事ではない感じでした。
またある時は、私が電車を降りようと体半分位あるバックパックを背負っていると、同じ車両に乗っていたおばあちゃん達が同時に私のリュックを背負う手伝いをしてくれました。
「Big bag,isn't it? Are you alright,dear?（なんて大きなバッグ！お嬢ちゃん大丈夫？）」
大人っぽく見られたい年頃だったから子ども扱いは嫌な筈なのに、イギリスのおばあちゃんの優しさと頼もしさには素直に甘えられたのです。
これらの出来事は後の私の人生の糧になっています。そして「あのおばあちゃん達のような、優しさと強さを兼ね備えていくというのは中々に難しいものだよなぁ…」と、すっかりヤングじゃくなった今の私は思うのでした。
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